懲戒処分と賃金・休業手当支払いの関係

 労働者が問題を起こしたことにより、出勤停止(自宅待機や自宅謹慎)をさせる場合、その間の賃金や休業手当の支払い要否について、時々お問い合わせを頂きます。
 ケースバイケースの事案となるため、一律に線引きをすることは出来ませんが、取り扱いの目安について書いてみたいと思います。

懲戒処分として出勤停止させる場合

 以下の2点を満たしている場合、出勤停止期間中を無給とすることは可能と考えられます。

  1. 就業規則に懲戒処分として「出勤停止」が規定されていること。
  2. 就業規則に出勤停止期間中は「無給」である旨が規定されていること。

 なお、この場合の無給の取り扱いは、労働基準法第91条の「減給の制裁」には当たらず、その制約は受けません。

懲戒処分を決定する調査のために出勤停止させる場合

 労働者が例えば金品の横領を行った場合など、そのまま出勤させると証拠隠滅の恐れなどが考えられるため、その調査や懲戒処分を決定するまでの間を出勤停止とすると、会社の都合による休業ということになります。

 よって、労働基準法第26条の「休業手当」に規定される、平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要と考えられます。

二重処罰の禁止への抵触にご注意ください

 例えば、出勤停止や賃金の支給停止が、いずれも就業規則の懲戒処分に基づいて行われる場合、「二重処罰の禁止」に抵触するケースも生じますので、取り扱いには十分に留意なさってください。

 二重処罰の禁止とは、日本国憲法第39条に基づく、いったん処罰されたのであれば、同じ事件について再度処罰されるということはないというものです。「一事不再理」と言われることもあります。

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